note 01葉山-04

そう言えば ガキん時
父親も母親も仕事で家で
ずっと1人だったな
大きなクッションやぬいぐるみ
いっぱい買ってもらって
家 わりとデカかったのに
いつも部屋の隅っこで
それと寝てたな
1度も寂しいって言ったこと無かったけど
俺、ずっと
寂しかったんだな、、

嫁も寂しい時とか
あったのかな?
もっと優しく 抱きしめてやれば
良かったな
何も出来なくても
手ぐらいつないで寝れば 良かったかな
親も 息子が先に死んで
辛いよな
俺だったら
あいつら先に死なれたら
、、、耐えられない、!
親不孝もんだよな、
とことん、、俺、、

あれ?
もうページが少ないな、
、、何か 書いてある
「最後に書きたい事は ありますか」?

そうだな、、
書きたい事より したかった事になるけど
最後に 家族4人で
一緒に風呂に入りたいなぁ
みんなでニコニコ 笑って
今日1日あった事を話したりして、、
家族みんなで入れるように
わりとデカい風呂にしたのになぁ!
一度も一緒に
入らなかったなぁ 、、


そう言って 男は
ニコニコ 笑いながら
幸せそうに涙を浮かべて
光の方へ 吸い込まれる様に
ゆっくりと 消えていった。

note 01葉山-03

思えば俺の父親も仕事人間だったから
家にいないのが普通だった
逆にたまにいると
(何でいんの?)
って空気出してたかも
父親からしてみると 辛いな
俺 親不孝してたんだな
やった事が返ってくる って
あれ ホントだな
やった事って言えば
嫁の態度がそっけなくなったのも
俺が嫁の話を
(面倒くさいな)
って思うようになってからかな

子供生まれる前までは
一緒に飯作ってたり してたっけ
その時は ニコニコ笑って
俺の話も聞いてくれてたし
スキンシップも あったな
2人の時間を楽しく
過ごしてた時もあったよな

嫁が子供産んで
スキンシップが減って
俺がちょっと体 触ろうとしたら
はたかれて
なんだよってさみしく
な、、って、、、
俺、、寂しかったのか?
大の大人がガキみたいに
子供しか見てない嫁を
独り占めしたくていじけてたのか、、
それでちょっとヤケになって
よその女に手出して
そんで嫁が冷たいのに腹立てて、、
、、、、
何やってんだ、、
俺、、ホント
ガキみてえな事、、

note 01葉山-02

嫁に対しての不満は山ほど

でも、子供の事は、、

これから大丈夫かな、?

俺いなくて、

生命保険とか?遺族年金とか

、、あるから家族が

暮らす分は心配ないかな?

親もいるし

まぁお金はなんとかなるかな

毎日はどうだ?

ていうか俺 あんまり

家事しなかったから

子育ても嫁に任せっきりだったし、

行事には参加してたけど

少しは寂しく思ってくれるかな?

、、、ていうより

俺って家族に

どう思われてたのかな

ただお金を入れるだけのマシンみたいな?

父親 いてもいなくても一緒 みたいな?

じゃあ 俺にとっては

嫁さんと子供って何だったのかな?

 

note 01葉山-01

何か書けって、、

、、死んだのか?

カーブでトラック向かってきて

やべー!って思って、、

ぶつかったのか!?

、、即死、、だな、、

 

、、ええと、俺の、、名前か

名前は 葉山たけし

年は32、車のディーラー、

妻と子供2人

あと、彼女1人 

なんて もう死んだから いいよな?

いっても俺、顔も性格もいいから

モテてたし 営業成績も良かったよ

でも嫁さんとはよくケンカしてたな

なんでだろ?

キツイんだよな、性格

毎日 会社でペコペコ頭下げて

家に疲れて帰ってきたら

キレイに片付いた部屋だし

晩ごはんもちゃんと用意してあるんだけど

なんっかこうリラックス

できないというか

取引先に来たみたいというか、、、

で、ご飯食べてたら

嫁さんが俺に言うわけ

「そろそろお風呂 いいかなぁ」って

で俺が

「まだ食べてるんだけど、、」って

言ったら子供に「もーねなさーい」

って遮って

さりげなく無視するわけ

なんだよって思いながら

風呂入って、あー疲れたーって

湯船でのんびりしてると

嫁が「もーいーかなぁ」

ってくるわけ

これ、

(早く出てくれないと洗濯出来ないんだけど) の合図

俺がへーへーって風呂出て

タオルで体拭いてたら

嫁が洗濯物持ってチラッとこっちみて

見てません って感じで

目をそらすわけ

わかる?これ

(またマット びしゃびしゃにして)

のチラ見だぜ?

何も言わない癖に思ってる事は

だだ漏れなんだわ

一生懸命働いてきてんのに風呂のマット

濡らしたくらいで これだわ

正直 毎日家帰っても全然

癒やされなくて 浮気した

はっきり言って悪いとも思ってない

元はと言えば嫁の態度もどうかと思う

面と向かって言い合いしてた訳じゃ無かったけど ずっとこれは本当にしんどい

他にも色々ある

 

 

note [Description]

人が座っている

天井から柔らかい光の射す部屋

部屋といっても 壁があるのかないのか

分からないような

自分が座っている所だけが明るく

まわりが薄暗くて よく見えない

壁際の机に1冊のノートとペンが置かれている

そのノートの表紙には

「あなたは死にました

ここに何か書いてください」

と書かれている

 ページをめくると

1ページ目に

「ペンを握ると 思った事が

文字になります」と書かれている。